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症例ブログ

睡眠と歯並びの話

皆様は、ギルノミー博士の事は、ご存知ですか?

2019年、残念ながら他界してしまいましたが、今となっては、多くの方々が知っている、睡眠時無呼吸症候群(OSA)の名づけ親として有名です。そのギルミノー博士は、「鼻呼吸の獲得が、その後の健康的な生活を送る鍵になる」と呼吸の重要性を指摘していました。

歯科医院のHPで、何を言っているのか?となるでしょうが、少しだけ、お付き合いください。歯科という領域は、口腔にあたります。この口腔という領域は、生きていく上で、非常に重要な役割を果たします。食べること、呼吸をする事、話すこと。

歯科というと、むし歯、歯周病のイメージがありますが、歯並びも、非常に重要な部分にもなるのです。歯並びとなると、ついつい「見た目」を気にしてしまいますが、「顎の発育」も大切な要素になります。そして、小児矯正と言われる矯正は、この顎の発育に対するアプローチをすることが多くあります。

今回、生きていく上での呼吸と「顎の骨」がどのようにつながっているのか?というお話をしていきます。近年、人間の顎は、小さくなってきており、歯も並びにくくなっています。しかし、この顎の骨、特に上あごの骨は、鼻の空間と関係しています。顎の骨が小さくなると、必然的に、鼻の空間が狭くなります。結果として、鼻呼吸がしにくくなるのです。

実は、この点について睡眠の研究からも言及されるようになりました。子どもの睡眠ガイドブックによると、小児の睡眠時無呼吸症候群に対する治療法として、アデノイド切除術などに代表される手術治療の他に、「口腔機能訓練(MFT)」や、「歯列矯正」が紹介されています。この「歯列矯正」とは、急速上顎拡大装置などの上顎骨の拡大を伴う小児矯正を示しています。もちろん、すべての症例に当てはまるものではなく、補助的な治療という位置づけになっています。ただし、MFTを含めた歯科矯正治療は、顎の発育が遅れにより将来発症するかもしれない、成人の睡眠時無呼吸症候群の予防になることが期待されています。成人の歯列矯正にはない、利点になります。

当院では、プレオルソや拡大装置を利用した小児矯正を導入しております。それぞれ、長所短所があります。特に、プレオルソは、睡眠時に使用する必要があります。口腔内に装置を入れる関係上、鼻呼吸を誘導することになります。副次的な効果ではありますが、鼻呼吸を訓練する形になり、正しい呼吸を手に入れる手伝いをしてくれます。新型コロナの感染拡大により、マスク生活が続き、結果的に口呼吸が誘導されている事が指摘されています。詳しいことは割愛しますが、鼻呼吸を訓練する機会が失われている状態が続いているのです。その点においては、プレオルソは、非常に有効な装置を言えるでしょう。

顎の発育を促すことは、歯が並びやすい環境を作ると共に、鼻呼吸を助けることにつながります。大切なのは、顎の発育を促すことは、ただ、歯並びだけの問題、即ち見た目だけの話ではないという事です。もちろん、顎の発育だけで、すべてが解決するわけではありません。全身的な事は、それぞれの専門の方々からのサポートが必要です。姿勢の問題や、栄養の問題(肥満により気道が狭まる話もあります)なども考えなければいけません。

ただ、正しい顎の発育は、鼻呼吸をサポートする役割があります。顎骨の発育を促す矯正が、「歯並びを治し、見た目を改善する」だけではないという事です。

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