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症例ブログ

口の中の細菌の話

年始に、ボトリウムを購入しました。ボトリウムと言うのは、ボトルの中にアクアリウムを再現するようなもので、水草とお魚の入った、小さな水族館のようなものです。

そして、先日、そのボトリウムを専門に扱っているお店に行くことができました。そこで、ボトリウムを考案した、水草レイアウトの先生と2時間近くもお話しできる機会があり、その中で、勉強することもありました。

実は、このアクアリウムには、自然の中の循環をうまく表現しているものだと感じました。その中で、一つ重要なファクターがあり、それは“バクテリア”、即ち細菌の事です。実は、水草を入れた水槽に生物(お魚やエビなど)を入れるにあたり、バクテリアの存在が重要となります。詳しい話は、専門外なので省きますが、生き物を入れていくと、毒素となるものが溜まってきます。その毒を分解し、水草に取り込みやすい形に変えていくのが最近です。それが、非常に良い循環となると、水槽の水が匂うことがなくなるのです。逆に、循環が悪くなると臭いがしてくるというのです。循環が悪くなるというのは、餌を与えするたり、魚を入れすぎたりして、拮抗が崩れてしまう事だそうです。

 

話は変わりますが、口の中の事です。口の中では、様々な細菌が生きています。その中でも、むし歯の原因菌や、歯周病の原因菌が有名かと思います。特に、この歯周病の原因菌は、種類が多く、それぞれに役割があるようです。そして、そのそれぞれが組み合わさって、歯周病が起こるのです。そして、歯周病が進行すると、臭いを発生することがあります。実は、これは、嫌気性菌と呼ばれる、空気が触れない場所で増える細菌が原因となっていることが多いようです。それが、先ほどの話を繋がります。

水槽の中で、良い循環が起こり、細菌のバランスが良い状態であれば匂いがほとんどしません。逆に、悪い循環に陥ると、嫌な臭いになってきます。口腔内でも、しっかりと歯磨きをして、悪い細菌が増えない状態を作る事で、歯周病が起こす、悪い口臭を改善する事ができます。もちろん、食物(ニンニクなど)によって起こされる臭いや、内臓が起因の臭いを取り除く事は、できませんので、すべての口臭をなくせるわけではありません。

先ほどの先生が、水槽の水が匂うようになった時、その循環のバランスを戻す必要があり、その手段として、いったん魚に餌をあげることを止めて、数日に分けて数回水替えを行う必要があるとのことでした。

冷静に考えると、歯科医院での歯周病を改善する事と似ていると感じました。食べたものをそのままにし、歯を磨かなければ口腔内の状態は悪化していきます。そして、歯石が溜まり、歯周病が進んでいくのです。その状態から改善するには、歯みがきでは、不十分です。歯石を取り、口腔内の細菌バランスを改善し、自宅での歯みがきを頑張ってもらう。地道ですが、それが最短の方法です。

現在、当院では、クリーニングの際に、染め出しや、ブラッシング指導の時間を取らせていただいております。それによって、口腔内の悪い菌を減らし、状態を改善するためには、患者様の日々クリーニングが必須なのです。逆に言えば、いかにクリーニングをすすめようと、自宅での歯みがきが不十分であれば、歯周病を改善する事は、困難なのです。

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